キャリアアップビジョン

キャリアアップについて

 

教員のキャリアステージ

 

求められる資質・能力

本県では、採用から退職までの教職生活を、成長の段階に応じて4つのキャリアステージに分けており、それぞれのキャリアステージのあるべき姿を示しています。
採用段階を経て、「基盤形成期」「資質・能力向上期」に当たる若年層教員には、子どもたちを魅了する豊かな人間性と崇高な使命感等の【人間力】、人々に信頼される【信頼構築力】、組織の一員として働く【組織力】、これらに支えられた教育のプロとしての【実践的指導力】が求められます。
これに加え、「資質・能力充実期」「資質・能力発展期」の中堅からベテラン教員には、チームワークを高める【組織力】や信頼関係を広げ深める【信頼構築力】が、さらに管理職には、全ての大人をも魅了する豊かな人間性と崇高な使命感に基づく、より高い【人間力】が求められます。これらの資質・能力は、教員のキャリアステージ全体を通して、学び続けることによって、身に付いていくものであり、そのためにも『学び続ける教員像の確立』が必要となっています。

研修制度について

本県では、採用初年度から資質・能力発展期まで、教職員研修体系に基づいて多様な研修の機会を用意しています。そのうち、基礎研修は、原則として全教員が年齢や在職期間等に基づいて受講するものです。それ以外の研修は、希望に基づいて受講が決定する希望研修と受講者が指定される指名研修に大きく分かれます。
ここで紹介する研修は全体の一部であり、配属される学校種や職により研修に違いがあります。

1 基礎研修

⑴ 初任者研修(新規採用研修)
採用初年度に、初任者を対象とした研修が1年間実施されます。総合教育センターに集合する研修を中心にして、県内各地で実施される研修や宿泊研修もあります。
また、各学校では、初任者指導教員や校内の先輩教職員の指導を個別に受け、基礎的な実践的指導力、教職員としての使命感を養成するとともに、幅広い知見を習得します。
⑵ フォローアップ研修
初任者研修に引き続いて、採用の2年目と3年目(県立学校及び養護教諭、栄養教諭は2年目のみ)に実施される研修です。授業研究、課題研究を通して実践的指導力を養います。
⑶ キャリアアップ研修Ⅰ
在職期間が5年に達した者を対象に実施される研修です。実践的な理論や技能を高める研修を行い、中堅教諭としての実践力を高め、教育のプロとしての力量を向上します。
⑷ キャリアアップ研修Ⅱ
キャリアアップ研修Ⅰを終えて35歳に達した者又は在職期間が10年に達した者を対象に実施される研修です。教科指導や生徒指導等について実践的な理論や技能を高める研修を行い、中堅教諭としての自覚と責任を持ち、資質や専門性の向上、指導力を高めます。
⑸ キャリアアップ研修Ⅲ
キャリアアップ研修Ⅱを終えて40歳に達した者を対象に実施される研修です。実践的な理論や技能を高める研修を行い、学校運営の中核を担う中堅教諭としての資質・能力の向上を図ります。
  • 2 職務別研修
    教務主任、生徒指導主事、進路指導主事などの主任等を対象とし、今日的課題についての理解を深め、各職務における指導力向上を図ります。県教育委員会の各課や各地域の小中学校を管轄する教育事務所などが実施します。
  • 3 課題別研修
    総合教育センターで実施され、教科等の指導や情報教育、生徒指導、特別支援教育などの分野で教育課題への対応と実践力の向上を図る研修です。受講者の希望による研修です。
  • 4 専門研修
    総合教育センターで実施され、専門的・特定分野に関する研修です。指名研修と希望研修があります。
  • 5 えひめ教師塾
    経験10年目までの教員や教員志望の大学生を対象に、休日を利用して行われる自主的な研修です。教職に対する情熱・使命感を高めるとともに、教員としての実践的指導力の向上を図ります。
  • 6 派遣研修
    愛媛大学や県外大学の大学院への派遣、民間企業等で勤務を体験する長期社会体験研修、文部科学省や教職員支援機構が主催する各種研修会、総合教育センターに派遣され研究を行う長期研修(小中学校)、短期研修(高校)があり、それぞれの派遣先で専門的な研究や活動を通して、探究心や創造性、社会性を養います。

愛媛の先輩教員インタビュー

小学校教員

H31採用
鶴井 昂汰教諭
Q.
初任者研修を受講して、今、あなたの力になっていることはどのようなことですか。
A.
初任者研修では、様々な学びの機会をいただき、教員としての使命を果たそうという気持ちが高まりました。指導力向上や児童・生徒理解の視点についてなど、大切な研修を受ける中で芽生えた、「教壇に立つ教員として、専門性を備えた恥ずかしくない人になりたい」という思いが今の自分を支えています。
Q.
特に印象深い講座(研修内容)を教えてください。
A.
どの講座も有意義なものでしたが、第1回の教育事務所長さんの講話が心に残っています。未来を担う人材を育てることに誇りを持つことや、仕事にも人にも誠実に向き合うこと、そして、笑顔と挨拶を大切にすることの三つについて拝聴し、自分もこれらを大切にした教員になりたいと思うようになりました。
Q.
研修を受講する際の心構えについて教えてください。
A.
今、自分が勤めている学校の子どもたちのことを想像することが大切だと考えます。学校に帰った後、目の前の子どもたちに、どのように還元できるのかを具体的に考えながら講座を受講することで、学びを生かすことができると思います。

中学校教員

R4採用
青木 萌花教諭
Q.
初任者研修を受講して、今、あなたの力になっていることはどのようなことですか。
A.
ICT機器を用いた授業展開例の紹介や、授業参観、実験の実習などの研修を通して、授業のアイデアの幅を広げることができ、とても勉強になりました。また、幼稚園教育や特別支援教育、複式学級での教育など様々な視点からの教育について学ばせていただいたことにより、「教育の原点とは何か」を考えることができ、「子ども一人一人をしっかり見て、理解していくこと。子どもの笑顔を守っていくこと」に気付くことができました。このことによって、教員に採用された当時と比べ、子どもに対する接し方や受け止め方も随分と変わり、自身の指導力向上につながっていると思います。
Q.
特に印象深い講座(研修内容)を教えてください。
A.
県立みなら特別支援学校での実習が心に残っています。私は学生の時に新型コロナウイルスの影響で特別支援学校へ実習に行けませんでした。教員になり初めて特別支援学校を訪問したとき、全員がのびのびと生活している姿や、教室が笑顔で溢れている様子を目の当たりにしました。それは、教員が「生徒一人一人をしっかりと見つめ、理解し、居場所をつくっているからだ」と気付きました。私も学級担任をしていますが、生徒全員が安心安全に生活でき、笑顔がいっぱいの居心地のよい学級、学校をつくっていきたいと強く思いました。
Q.
研修を受講する際の心構えについて教えてください。
A.
研修は、様々な先生方の意見や考えを聞くことができる絶好のチャンスです。私は常に、様々な考え方に触れて、自分自身の教育観について考え、指導力を高めたいという向上心を持ち、研修に臨んでいました。私の指導力は、ベテランの先生方に比べるとまだまだ未熟です。たくさんの先生方と出会い、学び続ける教員でありたいです。また、研修には、校長先生をはじめ同僚の先生方、県及び市教育委員会の皆様、さらには、実習先の先生方や研修会場をご提供いただいた方々など、多くの方が携わっています。今後も感謝の気持ちを忘れず、積極的に研修に臨んでいきたいと思います。

高校教員

2017年度採用
2022年度 民間企業で1年間研修
本田 知仁教諭
Q.
長期社会体験研修ではどのようなことに従事しましたか。
A.
社内のイベントや新入社員インターンシップの手伝いや、いくつかの小規模案件を任されプログラミングを行いました。新入社員インターンシップでは、グループワークの手伝いをさせていただきましたが、細かな時間調整など、教員としての立場からのアドバイス等ができました。プログラミングでは、納品時に正常に動かず設定に数時間掛かったことや、納品後にバグが発生したお客様の会社まで出向いて修復をおこなったことが記憶に残っています。たった一行のミスで仕事をできなくさせてしまうことに責任の重さを感じました。
Q.
研修でどのようなことを学びましたか。また、それらの成果をどのように学校で還元していきたいですか。
A.
多くのことを学ばせていただきましたが「ICTは目的ではなく手段であることを忘れてはいけない。」という言葉が強く残っています。教員をしていると「ICTをどのように使うか。」ということにとらわれがちです。「何をしたくてICTを使うのか。」という視点を大切にしています。また、研修中に資格取得のための勉強もさせていただき、基本情報技術者、応用情報技術者を取得することができました。
プログラミングについては教科「情報」の授業で生かせています。研修で学んだちょっとしたテクニックを生徒に考えさせることで、生徒の思考力の育成に役立っていると感じています。また、ICT機器を利用するときには、一度目的を確認し、ICTの利用が目的になっていないか確認するようになりました。
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